我が領地近域で伝統的に作られている焼き菓子です。 お口に合うかは分かりませんが、妻がどうしても、ラウツェニング大佐に――否、「トール先輩に」と。[中には、ドライフルーツの混ぜ合わされた焼き菓子が入っている。西の女子寮に居たアリーセは、在学中、寮長の細やかな心遣いに少なからず世話になったとのことだ。常ならば、過去の呼び名や私的な事情を持ち出すのは慎むが。今は幸い、時間の為か人も室内からは出払っている。このくらいは許されるだろうか。]