[クララの言葉には特になんの気負いもなく頷き]
ああ、あるぞ。
人狼も、人狼以上のケダモノも見てきた。
私がいた世界はそういうところだったからな。
[血と火薬の匂いにまみれた世界で生きてきた。
だからこその重みが言葉に滲む。
知る者こそあまりいないが、戦場に潜む人狼は少なくない。
いくらでも餌となる人間がいて、死体が見つかってもおかしくない場所など、戦場以外にそうそうないだろう。
だがその中で生き抜いてきた女は思う。
敵に人も人狼も変わりはない。ただ滅するのみだ。
だけど家族同然だと思っていた人たちを疑う事はさすがに]
……結構堪えるんだよなあ。
[黒衣のしたの鉄の硬さを確かめながら、ポツリとつぶやいた]