― 数年前 ―
再婚でもされたんですか?
[ その軍医は、彼が初めてマモーラルへ辿り着いた時、治療をしてくれた恩人の一人で、彼の出自を恐らくは知っていると思われる数少ない一人でもあった。
その相手と街中で偶然出逢い、家へと招かれて、やもめ暮らしのはずの彼が息子と呼ぶ若者と暮らしていることに驚いて尋ねると、養子なのだと教えられ ]
平原の民の...そうですか。
[ その暮らしを助ける手が、どうしても届かずにある平原の民の親を亡くした子の一人だと聞かされて、なんとも言えぬ感慨を抱いた。
けれど、こちらの同情など不遜と思える程、その若者は、明るく聡明で、どこか、王都に在るオクタヴィアスの面影と重なるような気がしたのを覚えている ]