― 狩人たち・フェリクス ―
[森の中に、銃声が響く。
脳裏へ描くイメージと寸分違わず獲物を撃ち落とすも、
男は酷く機嫌を損ねていた。
王子が初めて新しく加わった青年を同伴させてきたのだ。
伴が何人加わろうと別段、段取りが狂う訳ではないのだが
王子が、さも男の銃の腕前を自分のもののように他者へ賛すること
それが酷く耳障りだった。
けれど、金赤の髪の眩い育ちのよさそうな青年は、王子の言葉を
煩がるでもなく、男の行動の邪魔にならぬようにと
距離を取って眺めていてくれた。
それはとても、程好い距離感だった。]
――構えてみるか?