[目覚めがこの通りであった為、夢見の悪さについては
その後触れる事が無かったのは幸いだった。
トール及び声の主には感謝せねばなるまい。]
そうだ…メガネ、メガネ……。
ああ、あった。
[上着に入れ放しになっていた眼鏡を探ろうと、手を伸ばす。
掛けられていた上着を掴み、ケースを引き出した所で
ようやく気付く。
眼鏡が無くとも、ものが見えると。]
……有難いような、そうでないような。
[それならもう眼鏡は必要ないはずだが、それが無ければ
自分の何もかもが変わりきってしまうようで、怖い。
だから眼鏡は変わりなく身に付ける事にした。]