お前は少し明るくなったな。そっちが素か?
男の中に女一人紛れて、男として生きるのは大変だったろ。
……今は今で、また別に大変な物事もあるだろうが。
俺の下に呼んでおいて良かったぜ。
[軍人なのだから、何でもというわけには行かないが、
せめて身体を内側から傷つけるような汚ない任務は避けられるよう融通してやれる、と、暗に示して。
ディーク――ベルンシュタイン大佐もフレデリカと親しい筈だ。
彼もまたフレデリカの身を案じているかも知れない。
フレデリカの性別を知った今、向こうに配属させるべきだっただろうかと心に過ぎるものもありはするが、言っても仕方がない。
幸い、大佐とは卒業後の面識も増えた。話せぬ仲ではないから、機会あれば個人的に伝えることにしようと決めた。尤も、それよりも早く本人が告げるかもしれないが。]