[暗に、二人の時間をと言われたならば。] ……ああ。 じゃ、少し部屋を外す。 紙に判を捺したりの退屈な仕事はお前に任せるから、 ちょちょいと済ませておいてくれ。 そんな顔すんな、大丈夫だ。そこの山は一度目を通して選り分けてある。[部下に退屈な作業を押し付け、席を立った。その際にふと目が向いた執務机の上の写真立てを、そっと伏せる。なるほど。彼女が姿を現した時、思いがけず困惑した理由が漸く分かった。フレデリカ・ファロンは見た目が少し、自分の妻にも似ているのか。]