― しばらく後:シュビト近郊 ―
[大規模な集会から始まった――王府軍と反政府軍との衝突が、ひと段落した頃か否か。
ともあれしばらくして、巫女姫率いる一万の王府親征軍がシュビト近郊に其の姿を現した]
街に踏み込む必要はありません。
私共は、無用な争いをしに遠路はるばる来た訳ではありません。
街の動乱から逃げてきた方々がいらっしゃれば、
その皆様の保護を最優先してください。
[指示を与え、巫女姫は真っ直ぐ前方を見つめる。
肩に羽織った軍服の裾が、ゆると春風に靡く。
視線の先には、賑わいと知識の宝石箱たるシュビトの街並み。
前線に投げた尖兵からの報告は、濃く淹れた茶の湯のように…ほろ苦いか*]