おし、罠なんだから見つかると元も子もない。
みんなは草むらに伏せて隠れてて、あたしは釣り餌も兼ねて目立っとくわ。
[浴衣姿に、長剣一本ただひとり。
小石を拾って火蜥蜴に投げつければ、怒ったのか彼女めがけて猛突進]
まだよ、まだまだ……。
踏んだッ!
[いつかはこの囮役も号令役も、民が務められるようになるのが夢の姿だけど、さすがに今回だけは彼女が身体を張った。
猛突進で肉薄し、火を吐こうと頭を大きくのけぞらせた瞬間――翔んで火線から離脱しながら号令。
それに合わせて、草むらに身を伏せていた民たちが、簡素な槍を手に飛び出した。
2つの横隊は扇状に旋回し、猛獣を捕らえる罠の動きのイメージを頼りに挟み込み、一斉に槍を突き入れた――9(20x1) ]