人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


気儘な猫 カレル

[…――そう、確かに殺したはずだった。
甘たるい匂いに満ちた、静まり返ったその広い広い棺の底から、逃げ出した記憶は、ない。

けれど次に気が付いた時には監獄ではない、小さな檻の中に居た]

[屋敷に忍び込んだ物取りが、息の有る自分を拾って奴隷商に売り払ったとか、そんな話を聞いた気がする。
気紛れに見せて貰った、貴族の屋敷の惨殺事件の手配書には確か、自分とはまるで似ても似つかぬ人相書きが添えられていた――…]


[指名手配中の犯人は、未だ、逃走を続けている。
新聞で見掛けた記事の締め括りの一文に、逃げた心算も隠れた覚えもないのにまるで可笑しな話だと、他人事の様に思ったのは、此処に来て最初の頃、読み書きを教わり始めた頃の話]

(418) 2013/09/30(Mon) 08:13:29

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