− ブラバンド郊外 −[荷台から大きな布が下ろされ、地面に広げられる。荷台の横板にフックでロープが掛けられ、荷台の中央では炉に火がつけられた。やがて、布でできた紡錘形の袋の中に熱せられた空気がのぼってゆき、軛を外した荷台がユラリ地面を離れる。] 配置につけ![仮面の男《リリエンタール》の号令一下、8人の義勇兵とニール、そしてクレメンス家の護衛兵2人が荷台に乗り込んで持ち場についた。残る二人の護衛兵は地上に残り、荷馬と軛を引いてゆく。経験者のニールが熱気の排出角度と量を管理し、飛行船の進路を操る。速度が必要な時はプロペラも併用できた。ただし、足漕ぎなのでけっこう体力が必要である。]