[騎士を塵芥に変えたのは。 想いを掻き集め、希望に因って奮った勇者の力ではなく。 それと天秤に掛けられるような貪欲な暴力。 誰かの為ではなく、己の本能に従った蹂躙。>>410] ――――……、[緩慢な瞬きで瞳を洗い、王の声に鼻先を向けた。 闊達な笑い声も、久しく聞く気がする。 獣の姿のまま頭を垂れれば、一度毛並みが膨張し。 闇色が収束して、傅く長躯の姿になった。]