― 回想:戦場 ―
この期に置いて尚、生きる途を考える、か。
[口笛を鳴らした右手を下ろせば、左手の傷の痛みが蘇る。
ゆるりと、再び右に剣を構えれば。炎の獄の中、>>401後退を試みる金褐色の兵へとその切っ先を向ける。
……但し。殺気ではなく単に、指し示す程度の力を以て。]
数は我らが優勢。
大人しく、共に来ると言うのなら。……悪いようにはしない。
[とは言え、断られようと残存の兵力には恐らくこの一団を仕留める余力も無い。
が、それでも。こちらにはまだ竜が居る。愛竜は、存在を主張するかの如く、黙って中空に翼を翻し。]