(……意外とは、思わないが)(簡単に自白した、というのはどういう了見なのだろうな。何か、政局に絡んだ取引でもあったのか…)(幾らか事前調査は終えて来ていたが、あまり思い当たることもないな)[敢えて言えばそれが気になり、暫く口元に手の甲を当てて思案する。大臣暗殺の黒幕は、『狼』の雇い主――クレメンス・フォン・グリューネワルド。恐らくはこの事件にて、失脚の憂き目を見ることになろう。その後は和平派が台頭することになろうが、彼らが完全に実権を握るには、恐らく、まだ問題が大きすぎる。]