ー玉座の間ー
…はい、此度の訪問につきましての報告は以上でございます。現状では脅威となり得る事象はないかと。
[国王陛下への報告をすること。これだけは何度目であろうとも慣れないものだ。いや、慣れはするのだが恐れ多いと言うべきなのだろうか。]
…陛下、王位継承についての奏上をさせて頂いてもよろしいでしょうか。
[陛下に奏上はしやすい立場だったが、このように自分から何かを申し上げることは初めてだった。
外部ではあのように曖昧な態度を取りながら、陛下には自分の意見を通そうとするなど傲慢だ、と言われるだろうか。
そんな考えは巡らず、ただ私の感じる軍部の増長に対する危機感、そして使命感のためだけに口を動かしていた。]