えっ……。 ええ、そうですわ……。[何故、彼女――ジルは自分の名前を知っているのだろう。戸惑うばかりの自分に、再び呆気にとられる言葉が聞こえた] ……ジーク……ムントさまの、おく、さま……?[自分の知っているジークムントは独身で。それに、ジークムントの妻ともなれば相応の名家から選ばれるはずなのに、これだけの見目麗しい妙齢の女性は自分の記憶に無い。状況が上手く掴めなかった]