人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


気儘な猫 カレル

――湖の畔・回想――

[昔、子供には――チャールズには、兄がいた。血の繋がりは無いけれど、娼婦だった母が幼い子供を捨て男と何処かへ行ってしまった後、色々気に掛けてくれた。優しい兄だったとおもう。
白い肌に整った顔立ち、淡い金の髪、…こんな場所に居ても尚、うつくしいひとだと、純粋にそう思っていた。
大きくなったら、彼を護る者になろうと、終ぞ口に出す事は無かったけれど、痩せっぽっちの小さな子供はそんな風に思っていた。

兄との別れは突然だった。見知らぬ大人たちが兄を連れて行くのを、子供は茫然と見送った。目の前で兄の身に何が起きているのかと、こんな時如何したら良いのかが判らなかったから。

兄の居ない日を一日、二日――…何日か過ごしてやっと、兄は戻ってこないのだと理解し、ならば迎えに行こうと思い付いた。
手掛かりなんてある筈はない、けれど、子供の狭く小さな世界には兄しか居なかったから、諦めるという選択肢は無かった]

(413) 2013/09/30(Mon) 08:09:22

SWBBS V2.00 Beta 8++ あず/asbntby