…ん、あぁ起きてる。[リビングの方から、男の名前を呼ぶソマーリュの声が聞こえてきた。それに答えながら男は寝間着を脱いで着替え始める。―胸から腹にかけて兄に斬りつけられた傷も、今はもう痕さえない。ソマーリュは何をしているのだろう。料理をする時に身に着ける、フリル付きのエプロンも、今はもう見慣れたもの。この場所を、この愛おしい日常を決して失わぬ為に。男は出来る限りの事をするつもりでいた。]