この村に来るのは確か――…
4(10x1)年ぶり、だったかな
[広い帽子の唾へ手をかけ、深めに下げて目元に帳を下ろし。
成仏せず彷徨い歩く理由は一点。
自分を罠に嵌めたあの人狼の所在を、男は探していた。
占い師に身を確かめられねば、と憎らしい気持ちも多少は残るが
単純に一言物申したい。それだけ。
その未練が男を現世につなぎ止めていた
ふと。
僅かに眉を潜めさせる。人狼と「何か」、
そして“同胞”の香りを空気に紛れて嗅ぎ取ったのだ。
記憶に誤りが無ければ、およそ100年以来は
獣騒動がこの村で起こったという話は情報として残っていない筈だが。]