[発砲の反動に奥歯を噛んで、もう一度。
指にかけた引き金を引く前に…息を整えようか。
その時、硝煙と機械油の臭いが鼻腔を衝いた。
機械油は揮発性だ。
そして、銃口から放たれた弾丸は時に火花を散らす。
散った火が気化した油に引火すれば、当然――。]
…!
[ダーフィトは壁で遮られた通路を更に奥へと駆ける。
後ろを振り返っている時間はない。一刻も早く離れなければ。
一秒。駆け出した足が床を蹴り、進む。
二秒。弾丸がどこかへ命中したのかもしれない。鈍い音がした。97
三秒。廊下の脇に設置されたダストボックスを飛び越え、後ろへ。
四秒が過ぎ、再びの轟音。
同時に、過ぎてきた通路の先の方から
めきべきがしゃんと壊れる音が連続で聞こえてきた。12 26 65]