[再び視界が拡がる。眼前にうつるのは再び対峙する紅と白銀。だがもう駆け寄らない。――あの日のように身体を投げ出すことはしない。彼らを信じているから。そして何よりも、自身の身体には、新しき生命《きぼう》が宿っているのだから]じっと見守る前で刃は交差し、弾かれ、投げ出され。鞘のかわりに拳が彼に差し出される。その手を振り払う光景もいつかみたもの]