[ダーフィトが在学中に抱き続けてきた、どこかあぶなかしい翳りは、徐々に柔らかく穏やかな、慕わしい表情へと変化していった。
綿密な治療と、それによる心の負担の軽減のためか。
兵としての資質を問われる事もなく、寄り添って暮らす日常のためか。]
……どちらでもいいんだ。俺は。
お前が幸せなら、いい……。
[眠る彼の髪をゆっくりと梳きながら、そう、呟く。
己が、彼の悪夢を溶かしてしまえたなら。
そうして、彼が夢で紅く濡らすその手を、
――こわいものなど何一つ掴めないように、捕らえ、握り締めてしまえたなら。]