[覚悟はしていた。けれどいざ目の当たりにすると心が揺れる。ただ、舵を握る手だけは緩めなかった]悪天候を理由に中断する?……はっ、先に仕掛けておいて出来るものか。おい! ウェルシュを連れ戻せ!力尽くでもだ!![近くに居る乗員に怒気を孕んだ声で命じる。恐らくは姉と対面するために甲板にでも出ただろう。だがそこは落水の危険もある場所。砲弾が落ちることも考え、ウェルシュを艦内に入れるべきと判断した。彼を死なせるわけには行かない。死なせないと、そうタクマと約束したのだ]