[若宮と紀伊神社、それに大國社を除いては似たり寄ったりの、
こじんまりとした別荘地だが、やはり参拝者が多いだけに、
周囲には清浄な気が混じる気がする。
加護を得ようと胸に吸い込み、多少心を落ち着けて。]
―――無論、鍛冶神は云うまでも無く火の神でもある。
劫火にて金を鎔かし、巧緻に焼いて技術を打つ。
[と、大層に言葉で装飾してみるも、
妹の素直な感想に小さく喉を揺らして肯定の声。>>390]
日本は八百万の国だからな。
俺の個人的な見解だが、高天原から地上を見下ろすよりも、
台所や神棚に祀られているほうが、距離が近く性に合うのだろう。
[遥か天を仰いで、手を伸ばすよりも、
身近を見渡せば良い。とは、さながら青い鳥の物語のよう。
幸せを追い求めたチルチルミチルでは無いが、
自身らもそろそろ、飛び立ってしまった鳥に追いつく筈だ。]