[ヨアヒムの一撃は、ディーターの右腕を切りつける>>370
けれど、それだけだ。
ディーターはすぐさまヨアヒムの手首を捻り上げて、その身体を地面に押さえつけた>>371]
やめ……、
[ヨアヒムめがけてナイフをちらつかせる様子に、咄嗟にディーターへ制止の声を掛ける。
だが、ペーターの懸念は無用だった。
ディーターはナイフを捨てて、ヨアヒムの頭を床に叩きつけるに抑える。
悪い噂の多い彼だから、自分にナイフを向けたヨアヒムに容赦などしないだろうと思っていた。
けれど、それはペーターの思い違いだったようだ。
ゆるゆると、詰めていた息を吐き出した]