[ 軍務省の判を押された通行証の紙と、お守りと称した小さな赤い布袋を渡して、失くさないように、と念を押した。馬酔いのお守り、と聞いて彼女の顔がもし強張れば。 ]――馬車に使う馬は基本、大人しいので大丈夫ですよ。馬に直接乗る機会はないと思いますし。あなたが賊に攫われでもしなければ――。[ ほんの冗談めかした話しだった。まさか本当に。攫われて行ってしまうなんて――** ]