[まだ水温の下がり切らない秋の終わり、訪れる冬に向けて蓄える為だろう、餌への喰いつきが良く、既に水桶には作業の合間に釣り上げた丸々太った数匹の魚。捌けば人数分に足りるだろうか?
1、2匹程度ならば火を起こして一人こっそり腹に収めてしまう所だけれど…
…――厨房に持ち込もうか…――持ち込んで迷惑ではないか、少々、悩む]
[分厚い雲でもうすっかり暗い見上げる空模様と相談して、火を起こすには不向きと判断すれば、食べてしまわずにあと1匹釣れたら、帰ろう。そう決めて、再び餌を仕掛けた針を水面に向けて放りこんだ]