――現在・湖の畔――
[罠の中に随分と掛かっていたザリガニを食用と判断して水桶の中に放り込んで、一緒に紛れ込んだ生餌には少し大きすぎる小魚を湖に帰し、片付ける罠は風に晒して乾かすべく並べておく。
――一通り片付いた頃、不意に、鳴り響いた鈴の音に気付いて竿の元へと戻れば、魚が餌に喰い付くタイミングに合わせて一度だけ勢いよく竿を引いた。針に掛かった手応えの後は、暴れる魚の動きを抗うでなく利用して、少しずつ少しずつ水面へと引き寄せて…―
―ぱしゃり、水面から飛び出し、宙を踊った魚を釣り糸を手繰って受け留める。名前なんて覚えちゃいないけれど、食べて美味い種類で、食べ甲斐のあるサイズで有る事を確認すれば、針を外して満足気に水桶の中に泳がせた]