――アレクシスと別れ・尚書長官執務室――
[アレクシスとどれくらい話しただろう。
もしかしたら、どこかに連れていかれたりしたかもしれない。
その後、一旦執務室に戻った。
先ほど寄った時に護衛用の細い剣を置き忘れていたようで、
机に立てかけ、椅子に座った。
長官は不在のようで、胸ポケットからだされれば、こっそり残ったお菓子をくれる]
正直、私は羨ましいですよ。
出来るなら平民に生まれたかった。
リッターだって私と一緒じゃ、息苦しいでしょうに。
[そんなことはないと加えたお菓子を持ち上げてみる。
三代目リッターとしては先代の考えることはわからないが誰も息苦しいとは思ってなかったんじゃないかな。
一つ不満があるなら――側に置くことで貴族以外を理解した気持ちにならないでほしい。こんな小さな存在に何の意味があるのだろう。
彼は根っからの貴族生まれ、染まりきった考えはなかなか抜けることはできないだろう]
父上が亡くなる前にこっそり見せてくれた
あなたを引き取って早10年。
と言ってももう3匹目ですよね。
猫は死期が近づくと人から離れるといいますが
ネズミもそうなんて知りませんでしたよ。
いなくなったと思っても、少し立てば二回りほど小柄に
なって帰ってきますよね。
[そう言われてもまだいなくなっていないからピン来ない。
彼のもとになぜきたかと言っても答えられないけど]