[馬はひたすら前進だけをさせることで火からの狂乱を防ぎつつ、放った燃料と小さな火種は瞬く間に植物の化け物を燃やし尽くしていく。
馬で駆け抜けながら、エタノールの入った小瓶がところどころで小さくガラスの割れる音を響かせた。
何の前触れもなく飛び込んだ当人が真っただ中に居る中で仕掛けられた火計に焼け出されたエルフは弓を射る間もなく混乱を極めた。]
走れ、駆け抜ければ死なない。
抜けられたら、私たちの勝ちだ。
[口を布で覆って、そう馬に囁いて馬を走らせる。]
ふぅ…ちょっと派手にやりすぎちゃったかなー…
[どうにか走り抜けた先には、幸い軍勢はいなかった。
馬を止め、なだめるように撫でた。
見事なキャンプファイヤーになってしまった植物の化け物を少し離れたところから見て、軽く頬を掻いた。**]