[見つめる視線の先、刻々と色を変えてゆく海の面に、ゆっくりと灰色の霧が生じはじめた。死人の脳髄を連想させる陰鬱な紗幕の中、魔女の光珠のまわりだけが澄んでいる。流れよる霧に包まれた者は体が麻痺し、やがて昏睡にいたるだろう。その毒霧の中を、海の底を歩いてきた屍鬼たちが上げ潮にのってカレンの港へ侵攻をはじめる。船の碇を這い上り、下水道を辿り、ぬめぬめと。そして、光の結界に触れておののく。 >>232>>394**]