[特に何か指示される訳でもなく自然な所作で彼の手から薬草を受け取って、後々処理しやすい様に汚れと不要な葉を落とす。
座学で学ぶ読み書き計算は如何にも得意になれなかったけれど、先生と慕い軽鴨の雛の様に彼の後ろを付いて回った日々のお蔭で薬草の扱いは随分と覚えた、
…尤も、扱い方と効能に関しては覚えているのに、実用するに当たり必要のない名前だとかはさっぱりだったけれど]
[彼の用事が済み、見送迄のそう長くはない時間、ぽつりぽつり、言葉少なに会話を交わして、静かで穏やかに過ぎ行く時間を共有しただろうと――…]*