[時を見定めたベリアンは海に向かい、詠唱を開始した。] あはれ、こはもの静かなる幽潭の 深みの心こゝろ──おもむろに瀞みて濁る 波もなき胎のにほひの水の面おも。 をりをり鈍き蛇のむれ首もたぐれど いささかの音だに立てず、なべてみな 重たき脳の、幽鬱の色して曇る…[冷たい力が足元に蟠るのを感じる。]