――少し前・湖の畔――
[枯葉を踏み近づく足音に気付いてはいたが誰であろうと振り返る気は然程無く、無関心の侭に投げ込み仕掛けの罠を一つ一つ空けては、中身を選別し、片付ける作業をマイペースに続けていた。
しかし、「無関心」の例外である一人だと気付いたのは、声を掛けられる少し前。振り返って、>>208呼ばれる名に、ふわり、綻ぶ華の様に柔らかく微笑み返せば、別段急がない自分の作業は後回しに、ゆっくりと歩み寄り…]
何か騒がしかったから――…。
先生は、行かなくて良いの?
[茶会の支度に賑わう光景を興味無さそうにぼんやり思い返しつつ、赤く染まった彼の手を取り、…厭われなければ、ぺろり、無造作に舐めたりしたやもしれない。味を確認する事が叶っても叶わずとも、咳止めのやつ?なんて確認するだけですぐに解放しただろうけれど]