― 祖母の部屋 ―
[祖母の部屋に入ると、見慣れた彼女が寝台に横たわっている]
ばーちゃん!
[慌てて近寄る横、隣に立つ彼が祖母に向かい優しげに語りかける。今まで見なかったその幸せそうにも見える表情に不思議なものを感じる。祖母をここまで想う人がいるなど、今まで知らなかった]
ばーちゃん…
[一人でも立つくらいはもうできるけれど、祖母の寝台の横に膝をついて座り。閉じた彼女の瞳を覗き込む。
一瞬『死』の記憶が掠めるけれど、『あの日』のような闇はそこになく。そういえば何故自分は生きているのだろう、という疑問が浮かんだ。
そこに響く12の鐘――]