[ 魔法の傷でわずかにテオドールの動きが鈍る。
アランとの戦いも、優勢から拮抗へ。
そしてその時、森の向こうで……黒い黒い煙が立ち上った。 ]
……!
[ モーリスの方向だ。
テオドールに従う者達はモーリスを拠点としているが、周囲にはまだ支配下にない魔物も数多い。
不在時は、副官に任せているのに……と思ってから、
テオドールは大きな失敗をしていたことに気付く。
副官は……彼はもう居ない。
名も、存在すらも消えうせた彼……あえて仮称するならば
「匿名M」は……、
テオドールの使える唯一の魔法の触媒となって、この世界から消えた。
彼が居た事をもう誰も覚えていない。
テオドール以外。 ]