―宿/ゲルトが部屋に行く前:101号室近く―
――――……ル…。待って…っ。
[ゲルトに空いている部屋の番号を伝え、彼が踵を返そうと
した時だったか。咄嗟に、その袖に縋るように、指が伸びた]
[人狼なんて、いるわけない、と言っていたゲルト>>286。
荒げた声は、否定というより、拒否に近く耳に響いたけれど。
でも、もし―― 彼が、私を、人狼だと、信じないでいてくれるなら。
何らかの形で、真実を告げらえることがあったとして、
心の病か、夢か、思い込みか、何かだと、
あんな風に、否定してくれるかも、しれないならば。
一瞬だけ、そんな――…あまりにも狡い考えが、胸を過るも]