― 公国と帝国の海戦 ―
[最初、帝国が制海権を手に取り、公国の海運を絶ちつつあったが――
上陸を前にして、公国軍が新たに開発した、固定砲台と火薬の威力で、魔法弾すら届かぬ遠方より軍艦が撃ち沈められた。
逆襲に出てこられ、フェルゼンベルクは公国の砲弾によって火の海とされたが――
カサンドラが持ち出した、非常識な大きさの魔法弾が、船ではなく海に投げ込まれた。火薬もそれを飛ばすほどの大きさの筒も風の力もないから、、海に入れる手段もごくごく原始的な投石器を用いて、ではあったが。
一つは、炎でもなくぬるりとした熱を放つもの。
一つは、衝撃派にもなりえない、風を空へと放つもの。
どちらとも対人には威力がないほど、ぬるく、そして広範囲であり弱い弱い魔力であった。
球が放り込まれて、半刻後。
突如として巻き起こった嵐と大波に、公国軍艦と帝国の港町のともども、莫大な被害を生んだ。
帝国の港は住民の避難が完了していた為、犠牲者は少なかったが――未だ、フェルゼンベルクは以前のような活気のある状態には戻っていない……]