[やがて天幕の準備などが始まれば、女もそれに加わる。
新たにやって来た一万の軍勢が夜を明かす為に様々な準備が必要だった。]
「巫女姫様と何かあったのか?」
[作業の途中、レオンハルトにそんな風に聞かれれば、]
――…内緒、だ。
[口元に右手の人差し指を当てて、大真面目に言ってのける。
巫女姫は恐らく本当に無礼と思ってはいないのだろう。
恐らく、報告の時点で己の事に気付いていたのだろうし。、
その上であの労いの言葉を掛けてくれたのだとしたら――]
…失わせてはならないな。
[あの努力家で、心優しき巫女姫を奉ずるこの国の在り方を。
決して壊させてはならない。
護りたいという思いは女の中でより確かなものとなった。**]