花ってね、そういうものなのよ。
短い命を精一杯生きてるの。
人間にしてみたら一瞬のことかもしれないけれど
……花はその一瞬に全部のエネルギーを詰め込んで咲くの。
だから、……綺麗なのよ。
[自分にはその"綺麗"を引き延ばすことはできても、保つことは出来ないと告げる。
延命措置を講じるための、窒素系やリン系の肥料類も常備しているが、切り花には向かないことも。
彼女が自分の境遇と重ね合わせていることまでは分からない。
それでも、あまりに悲痛な表情を浮かべるので、何らかの事情があるのは察するだろう。
お茶を飲みながら、彼女が口を開けば聞いただろうし、そうでなければ談笑し……。
その後、店を出てゆくのを見送っただろう。*]