ならず者 ディーター

［いや、つい要らない話をしてしまった。
彼女がどこ出身だかわからないので、ここはひとつ、地球星系を基準にしておこうと思う(陛下曰く、私は地球出身らしいので。どうやって調べたんだ)。

聞いたことがあるのに、曲名はついぞ思い出せなかったし、途中で演奏者が代わったことが(見てもわかったが)演奏の癖でわかった。

「音楽も教養だよ」なんて言って、最近流行りの曲から、化石化した古代の曲まで聞かされたけれど、好きを共有したかっただけじゃん、このジジイ。と当時思ったのは内緒である。

ともあれ、少女(たぶん)の視界に自身がチラチラ映っていて覚えさせてしまったことも、”ワインレッドの少し怖いお偉いさん”と命名されたことも、知る由もなく。

もし、それを知ることがあったなら。
「え？」と片眉を上げて困惑を示したあと、「いや、今回のテストプレイ参加はプライベートなんだよ」と「ピアノ素敵だった」と感想と共に伝えただろうけれど。*］