―数ヶ月前・公国―
シュヴァルベの状況は、だいぶ酷いようですね。
[士官学校の先輩、トール・ベルゲルード――ことトルステン・フォン・ラウツェニング大佐とも、ステファンの卒業後に再会して以来、幾度か話す機会があった]
戦況が激化し、かつての平穏が嘘のように、荒れ果てていると聞いています。
和平の象徴だったあの場所が、今は最も多くの血が流れる場所になっていると……。
いずれ、僕も前線に配属されることになるでしょう。
……覚悟は、できています。
[首都防衛の部隊から、命を危険に晒す前線に出ること。
変わり果てた学びの地を目の当たりにすること。
おそらくは、帝国からも同じように前線へ駆り出されてくる同年代の――]