―宿/ゲルトが部屋に行く前:101号室近く―
[“先生”とこの1年の常の呼び名>>304を口にすれば。
ゲルトとの間に再び距離が開いたような、線を引かれたような
感覚を>>312感じ、きゅと心臓の辺りが微かに痛んだ。
ゲルトが、何処か仕方なさそうに吐息する様に。
彼の方にも、思うところはあるかもしれないけれど、
自分が何の説明もなく、他人行儀な呼び名や、
なるべく顔を合わせないようにすることで、
先に距離を置こうとしたことへの、申し訳なさも募り]
……うん、ゆっくり休んで。
もし暫くしても起きてこなかったら、
スープを持って様子を見に行くかもしれない。
[大丈夫じゃなさそうな声に、その時は何も問わず。
案じる眼差しで見つめ。お礼を言って荷物を受け取り、
薬等のことは皆に伝える、と頷いた]