[噛まないと知るや否や、>>378男の指は好き勝手にあちらこちらを擦り始めた。
執拗に一点を擦り上げるところを見るに、人というものはそこで快楽を得るのだろうと察しはできたが、親しくもない、大切なものと自分を踏みにじった男にされてもきもちわるいだけであり、例えるならば肌色のイモムシが粘液を纏ってずるりずるりと蠢いているようなものだ。]
うぐ、ぎ……っぅ…
[気色が悪い。吐きだしてしまいたい。でもできない。
フラストレーションだけが溜まっていく。
ひらきっぱなしの唇の端から唾液が珠を結んでしたたり落ちていく。
…目をぎゅっとつむる。
瞼の裏にある暗闇が、今の自分にとって唯一の逃げ場所となりつつあった。]