―ラバル家との婚姻―
[使者の見送りが無事終わり、館に戻って一息をつく。
この後は政務を控えているが、その前に一枚の手紙を広げる。]
ふう・・・。
そろそろ返事をせねばならんか・・・・・・。
[手紙の差出人には元老院の肩書きとラバルの名の文字、婚姻を促す内容にアイリはその返答に悩んでいた。
アイリは当主である以上、いつかは子を孕み、フォールデン家の未来のことも考えねばいけない。しかし、女の中にいてはその機会も少なく、これまでの申し出などは取るに足らない端貴族。
意識することも無く気がつけば自分ももう婚期は過ぎている。
子を成すには年齢のことも考えなければならない。
小さな頃からのフェリクス王子への憧れはあるものの所詮は臣下の身、夢物語のようなことは起きてはならず、望んでもいけないことも十分にわかっている。子供の時期は過ぎたのだ。
ラバル家の申し出は時期としてアイリにとっては悪くない話ではあった。
家格、実力、身分、そして息子もフェリクス王子と繋がり深いことも聞いている。
亡き母が当主の頃ならばそれこそあっさり決まっていたであろう]
いつまでも、子供ではいられぬ・・・・・・この話、受けるか・・・・・・
[館の壁に掛かる歴代当主の肖像画、アイリも知る祖母や母の前で決断をする。
そして羊皮紙と筆をとると、フォールデン家当主として婚姻承知の旨と取り纏めの依頼を正式な書簡として早馬に向かわせた。]