― 巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
『艦長!ヴァイが!!』
[ 傷んだ艦首を庇うように細かな回頭を繰り返しながら、帝国巡洋艦からの砲撃と喰い着いてくるかのような水雷艇を躱し続けてきたヴァイスメーヴェの艦橋に、悲鳴のような声が響く ]
「......ここまでか」
[ ヴァイスメーヴェ艦長は、タクマ・ナギからひとつの命令を受けている。それは、彼がかつてタクマの副長として傍らにあった時から、変わらぬ命で ]
「敵巡洋艦の動きは?」
『針路北寄りに移動しつつあります。振り切って皇帝旗艦の援護に向かうつもりかと』
「よし、減速のうえ、取り舵、敵巡洋艦には威嚇砲撃を続けながら距離を取れ...ヴァイの乗員救難に向かう」