― カレン城壁・夕刻 ―……来るか。[日暮れを前に、一人カレンの街の城壁に上がる。手の中にあるのは例の丸薬。術の微かな名残を留めたもの。此度はヤコブに願って、陣を離れた。剣を振るう騎士としてでなく、一人の術士として場に臨んだ。屍鬼に手を打つ必要があると考えたのだ。彼が術を使うだろう開戦を待って、探知する。この小さな丸薬を手がかりに、どこまで術者を探れるかは未知数だけれど]