…失礼しました。軍人は怪我の一つや二つ、日常茶飯事なゆえ。
自分基準で捉えておりました。
……大丈夫ですか?
[手を差し伸べて、彼女が身を起こすのを手伝おうとする。
改めて少女のような様相を確かめ、はて、どなただったかしら、と思い返そうとすると、彼女の口から先に自分の名前が出た]
はい、いかにもわたしはドロシー・ブライアンですが。
失礼ですが、どこかでお会いしましたでしょうか。
[王宮を出入りする宮廷画家の名は、聞けば思い出すかもしれない。が、尉官とはいえ、一介の軍人にすぎぬ自分とは、あまり接する機会が無かったから、すぐに名前と顔は一致しなかった。*]