そっちの方はどうなん? 楽しいかえ? 苦しくはあらへんか?
うちのせいで、向こうに逝かせてしもうたからなぁ……。
[今でも脳裏にこびり付くように残ってる記憶。それは、崩れた岩の下に埋められ、命を落としてしまった若い部下達。
岩の隙間から流れる赤い血、悲痛な部下達の慟哭ーー3年経った今でも忘れる事は出来なかった。いや、忘れてはいけないのだ。
例え片腕を失ったとしても、疼く傷みが一生続いたとしても、背負い続けなければならない。
自分がこの大惨事を引き起こし、多くの若い命を失わせてしまった罪は、消えはしないのだから。]
ーー……っ。
[疼きが傷みに変わってしまったら、蝶は霧散し、始めから何も無かったかの様に消え去った。
先程来た時と変わらぬ風景を、ただただ静かに眺めた後、黙って背を向け中庭かた立ち去ろうと。]