[ その言葉は弁解というよりも、
もはやただ己の恐怖と自己保身をまき散らしているだけ。
正気を保っているかも疑わしい彼の様子に、ガートルードがどんな反応を示すだろうか……。
そして、彼の服が濁った赤に………カシム少佐の流した血の赤に染まっていることには気がつくだろうか…………。
銃の構えも解き、おおげさな身振り手振りも始めれば。
彼の衣服のポケットに忍んでいる濡れ衣の罪が宙を舞い、
何の変哲もなさそうな、アースガルドの軍服の第二ボタンが、
不自然と思えるほどに一同の視線を集めて、
ころん、と。
ガートルードの足元近くへと転がるだろう。
]